小津監督をもっと身近に・・・
川喜田半泥子(117号)、本居宣長(120号)に続く、偉大なる“伊勢人”シリーズ第3弾!
日本が誇る名監督・小津安二郎の原風景は、三重で過ごした青春の日々にあった。
今号の特徴
旅の雑誌『伊勢志摩』から『伊勢人』に変わり3年目を迎える2002年・新春号は……
●三重が生んだ映画の巨匠・小津安二郎を38ページにわたり大特集。『伊勢人』は“三重の文化誌”という立場から、小津監督が三重で過ごした若き日の姿を掘り下げ、彼の生き方の原点とその知られざる魅力に迫ります。
●陶芸家・川喜田半泥子、国学者・本居宣長に続く人物シリーズ第3弾!
●シリーズは一部休載、その分特集のボリュームアップを図りました。
〈特集〉「小津安二郎を歩く」
――なぜ今、小津安二郎か?
小津監督生誕100年(2003年)を控え、記念の催しや顕彰イベントが準備される中、『伊勢人』もその動きに対して積極的に推進役を果たし、協力していこうというのが一つのきっかけでした。
しかし、理由はそれだけではありません。
小津安二郎監督は世界に名を馳せた映画界の巨匠。三重で過ごした青春時代こそが彼の原点であると考えられ、『伊勢人』の顔として相応しい人物である。
小津監督については、過去に多角的にその業績や人となりが紹介されてきたが、中でもあまり触れられることの なかった中学校時代に着眼した『若き日の小津安二郎』(中村博男氏・著)が出版されたことで、より鮮明な三重県時代の小津監督像が浮かび上がった。
どこにでもある「日本の家族」を描き続け、世界の評価を得た小津映画。生涯独身を貫いた小津監督自身の一徹な生き方とあわせて、私たちが生きるこの時代に失われつつある大切な“心”に気付かせてくれる。
そしてこの特集を通じて、三重からの視点を大切に、知られざる若き日の小津監督の面影を探り、その生き方や作品に見る、より身近な小津監督像を、『伊勢人』から発信します。
貴重な新資料も・・・
取材にあたり飯高オーヅ会の柳瀬才治氏が公開してくれた一枚のハガキ。
飯高町で代用教員を務めた一年間、小津が下宿していたと推測されていた家の住所が記され、実際そこにいたことを裏付ける新発見のハガキです。
本邦初公開!詳しくは本誌P26〜をご覧ください。
特集 三重が生んだ映画の巨匠 小津安二郎を歩く
その内容は……
小津のまちを歩く(前編)
○俳優・三上真一郎さんと 深川/茅ヶ崎/鎌倉 文・吉村英夫(映画評論家)
小津監督生誕の地・深川から、映画監督としての活動拠点であり墓所でもある鎌倉界隈を、監督の最初で最後の弟子である俳優・三上真一郎さんと映画評論家・吉村英夫さんが歩く。途中、脚本家・野田高梧とともに数々の名シナリオを生んだ旅館「茅ヶ崎館」にも立ち寄る。
小津のまちを歩く(後編) 〜松阪・伊勢志摩・飯高〜
○青春の足跡をたどる 松阪・伊勢時代 文・郡長昭(フリーライター)
幼少から青春時代を過ごし、生涯望郷の地であった松阪・伊勢。残された日記や書簡を手がかりに、松阪の旧宅や小津監督が寄宿舎生活を送った中学校跡などをたどる。往時を偲ばせる地元ならではの品々や写真資料を紹介し、若き日の小津監督を浮かび上がらせる。
○小津少年が歩いた町へ −宇治山田市/松阪町 大正期復刻地図−
小津監督が中学生の頃に過ごした町を、当時の写真を散りばめた大正期の地図上に再現。
○安二郎ゆかりの店・なじみの味
ご当地伊勢うどん、松阪牛、名物餅…。小津監督が生涯愛した故郷の味・贔屓の店を紹介。
○代用教員・小津の教え子に聞く おいらの先生オーヅさん
飯高町・宮前小学校での代用教員時代の小津について当時の教え子・柳瀬才治さん(87)に聞く。話し上手でユーモラスな小津先生は、たった1年間でも子供たちの心にしっかり残っていた。教え子たちの記憶から作られた飯高町の思い出スポット地図や、初公開資料も。
特別寄稿
○小津作品出演俳優が語る思い出 淡島千景/司葉子/三上真一郎
『秋日和』主演女優の司葉子さん・『早春』の淡島千景さんがほのぼの語る小津監督の思い出と、愛弟子・三上真一郎さんが監督との日々を綴った著書『巨匠とチンピラ』の紹介。
○映画監督・小津安二郎という人 文・川本三郎(評論家)
作品を見る際知っておきたいポイントを、評論家・川本三郎さんが分かりやすくダイジェストでおさえた、監督・小津安二郎入門編。小津監督の人生をたどる年譜とともに。
小津映画をより深く味わうために
○三重を舞台にした『浮草』 文・藤田明(高田短期大学教授)
『浮草』(1959)は唯一三重県でロケをした小津作品。ロケハン時のエピソードや作品に見られる風景の場所推定などを通して、この作品の新たな見方、見どころを教える評論。
○小津監督作品と関連書籍 全リスト
小津監督全作品、小津に関するあらゆる書籍を一挙掲載。データベースとしても役立つ。
○小津を愛する市民たち 文・田中忍(全国小津安二郎ネットワーク会議事務局長)
小津ネット(通称)の活動紹介と、三重映画フェスティバル2003への取り組みの報告。